「……これ、地毛?めずらしー色してるけど」

「うん。隔世遺伝ってやつだと思う」

「あ、そ。……いい色じゃん」

「……うん」


褒められて、ふわりと笑う。

純粋にうれしかった。


ルナちゃんにいいねって言ってもらえたあのときから、わたしは自分の髪色を好きになっていたから。





「ありがとう。わたしね、堂くんの黒い髪も……っ」



振りかえってお礼を言うと、思ったよりも近くに堂くんの顔があった。


堂くんはいつもとは違う、柔らかい笑みでわたしを見つめていた。



心臓がふわっと浮いた。


視界が狭まり、彼にしか焦点が合わなくなる。