「こっち来い」
「え」
そのとき、換気のためにあけていた窓から風が入って。
さらりとわたしのほっぺを撫でていく。
いい風だなぁなんて思ったけど、堂くんの目つきが険しくなった。
「はやく」
「堂くん?」
「来いって」
急かすような声色に、わたしの足も自然とはやくなる。
すこし早足で寄っていったら、すぐにぎゅっと抱きしめられた。
「つめたいっ!」
びっくりして反射的に身体を離そうとしたら、もっと強く腕をまわされる。
堂くんの身体は5月とは思えないほど冷えていた。
ほんとうにわたしと同じ血が通ってるのか、疑ってしまうほど。
「お前…安藤みくる、まじで俺と同じ人間か?」
「それわたしが聞きたいんだけど……」
そりゃあこんな寒がりで冷え性なんだったら、カイロのひとつやふたつ欲しくなるよね。
と、そこでようやく思い出したわたしは、あっと声をあげた。



