最後まで聞くことなく、わたしはそっとその場を離れた。
たぶんわたしが図書委員だってことも忘れられてそうだな。
実はいるんですよこの時間、その安藤みくるがここに。
ちゃんと「図書委員の仕事してくるね」って言って教室出てきたのに。
じわりと目頭が熱くなる。
涙が出る前にしゃがみこむと、一気にぶわっと溢れだしてきた。
「……っ、ぅ」
いま世界が終わってもいいと思った。大きな地震が起こって、わたしだけ本に潰されて死んでもいいと本気で思いながら泣いた。
そんなときだった。
「うるせーな」
低くて、まるで獣のように獰猛な声が耳に飛びこんできたのは。