堂くん、言わないで。




「それ、癖?」

「っえ?」

「下向いてんの。ぜんぜん目合わねーんだけど」

「そ、そうかな……気のせいじゃない?」


違うことを考えてたわたしは、堂くんに話しかけられ我に返る。


放課後の図書室はわたしたち以外に誰もいなかった。

本当は図書委員の子もいるはずなんだけど、たぶんサボり。


テーブルに肘をついてこちらを見ている堂くんの視線から逃れるように、手元の本に目を落とす。

手で表紙をぱっぱと払うと、すこしの埃が宙に舞った。もろに吸い込んでしまって咳きこむ。



「つーかなにやってんの?」

「けほっ……掃除だよ。ここの掃除、しばらくすることになったから」

「へえ」


含みのある声。

なに?という意味をこめて、堂くんを振りかえった。