びっくりして離れようとしたら、わたしの真似をするように後頭部に手を差し入れられて。
触れるだけだったそれが、もっと、ぐっと深くなる。
「っん、…ふ、ぁ……」
身体の芯からぴりぴりと痺れるような感覚。
ぜんぶの神経が唇に集まってしまったように感じた。
ついていくのに必死。
気がついたときには……堂くんもすこし息を乱していて。
「こーいうことだろ、どーせ」
肩で息をしていたわたしはその言葉にかあっと熱くなった。
近くにあった本を手にしかけて、さすがに思いとどまる。
そして制服のポケットに手をつっこみ、指先に触れたなにか柔らかいものを投げつけた。
堂くんに当たって落ちたそれは駅前でもらったポケットティッシュだった。
非戦闘員だ。
当たったところで痛くも痒くもないだろう。
「~~っ、ばか!堂くんのばか!ば、…お、おたんこなす!」
結局、小学生並みの語彙力を投げつけ、わたしは図書室を飛びだした。



