「そんなわけないじゃん。みくるちゃんが思い詰める必要ねーし」

「でも、」

「役員に立候補したときはすでにスタメンから外されてたよ」


つまり、あのときから怪我をしていたということ。


知らなかった。


なんで?
休まなきゃいけない時期じゃないの?


というかいまも、わたしの頭を撫でてくれているけど、それって本当は痛いんじゃないの?


それらを一気に伝えると、むぎゅっといきなり摘ままれたほっぺ。



「いひゃい……」


タコのようになったわたしに棗くんは顔を近づけた。



「動かすぐらいで痛むんだったら、部活にも最初から参加してない。俺はそんなに優しくないから、無理だと思ったら無理だってはっきり断るよ」



言われてみればそうだった。

最初、先生から懇願されていた棗くんが役員を断っていたことを思い出す。