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みくる、って。
だれかに呼ばれた気がして、ぼんやりと目をひらく。
「……堂くん?」
抱きついていたのか、抱きかかえられていたのか。わたしは堂くんの胸のなかにいた。
目を覚ましたことに気づいた堂くんが、ふっと視線を落とす。
「起きたのか」
「ごめ、わたし……寝ちゃってた」
あわてて身体を離そうとするけど、背中にまわされた腕がそれを阻止した。
ふたたび包まれた瞬間、ほっと安心するようなあたたかさに絆される。
あれ、堂くんってこんなにあったかかったっけ……
「まだ寝とけ」
「え?」
「疲れてんだろ。目の下にクマできてる」
「っうそ!恥ずかしい」
ひどい顔を見られたくなくてとっさに顔を伏せる。
はからずとも堂くんの胸に顔をうずめるような形になってしまい。
どくん、と音がした。
聞こえているのはどっちの鼓動?
早鐘をうつように速くなっていく心音は、おそらく、というかわたしの心臓から。
伝わっちゃうのが恥ずかしくて、
子どもがむずかるように身体をよじる。



