「えーなんで?せっかく決まったのに。いーじゃんこのままで。空気読んでよね」

「いやいや、お前こそ空気読めよなー。ここは実行役員同士、だろ?」


その目は言外にちがうものを言っているように感じた。


完璧に付き合ってると勘違いされてる。



そうして変わる変わらないの論議の末。

結局、棗くんは白雪姫とシンデレラの両王子さまをすることになった。


さすがに予想外だったのか、ええと、と指折りなにかを数える棗くん。


たぶんバイトやら部活やら役員の仕事やら、ダブル王子さまのことやら。




「これ、俺が過労で倒れたら労災おりると思う?」

「い、一緒にがんばろうね」



励ますことしかできなくて、

あいまいに拳をつくってみせたところで、授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。