「安藤さー……」
「せんせー」
かぶせるように、棗くんがうたた寝してた先生に声をかける。
「んぉっ、お?なに、決まったか?」
「はい。決まったんで出し物決めていーですか?」
「お、おお。柏木と安藤か!うん、悪くないペアだな。よーし出し物を決めよう!」
ぱちぱちと瞬きをくり返した先生は、そうするうちに覚醒したのか。
わたしと棗くんを交互に見やって、まるで石でも打ち鳴らすようにパンパン手を叩いた。
それにつられるように、クラスからひかえめな拍手が送られる。
さっき声をあげた女の子たちは、ちょっと不満げなカオで爪をいじっていた。
「というわけで、ヨロシクね。みくるちゃん」
「う、うん!よろしくお願いします」
はやく決まってよかった、と胸をなで下ろしながら隣に立った棗くんを見あげる。
ふっと目をほそめてわたしの頭をなでた棗くん。
きゃあっ、とあちこちで黄色い悲鳴があがった。



