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お昼やすみ。
わたしはあまり食欲なく、食べかけのお弁当をかばんの中にしまって、席から立った。
遠くに座っていたルナちゃんたちがちらっとこちらを見る。
だけどすぐ興味を失ったようにふいと顔をそらされた。
教室から出ていくとき、なんだかものすごく足どりが重かった。
まるで石を背負って歩いているような。
体内に、それこそカイロを仕込んでいるような。
空を見あげる。
雲ひとつない晴天だった。
わたしの心とはまるで逆だ、なんて思いながら廊下を歩く。
朝、棗くんに言われたことがずっと心にあった。
ぼんやりする頭で、わたしの足が向かっているのは……たぶんあの場所。
なにを話したらいいのかわからないのに、身体がそこに行こうとしていた。
だけど────
視界がくらりと歪む。
身体の糸がふっと切れたような気がした。
「おい、だれか倒れたぞ!」
「あなた大丈夫?だれか先生呼んできて!」
遠くの世界で声がしているみたいだ、なんて。
そう思ったのを最後に、わたしの視界は暗転した。



