棗くんにつれられ、たどり着いたのは屋上

……に続く階段だった。



自分のほおに手を持っていくと、たしかにそこは濡れていた。


うつむいて、床に落ちていく涙を見つめる。


今回はなにが原因だろう。


考えないといけないことがありすぎて、逆になにも考えられなくなっていた。



「みくるちゃん皆勤賞狙ってる?」

「ううん、もう1回休んじゃったから……」

「じゃあ1限目はこのままサボろーか」


すこし考えてわたしはこくりとうなずいた。


たしかにすこし落ち着く時間がほしい。

このまま赤い目で教室に戻っても余計気まずくなるだけだ。



「なつめくんは戻るよね?」

「俺もここにいるよ」

「でも、また噂されるかも……」


棗くんもてっきり知っているかと思ったのに。

わたしの言葉を聞いて、「なんの話?」きょとんとした。