「安藤さん、大丈夫ー?」

「え……」


悶々としていたとき、話しかけてくれたのはクラスメイトの男の子だった。

名前を思い出そうとしているあいだに、わらわらと机の周りに集まってくる男の子たち。



「えっ、な、なに……?」


立ちはだかったむさ苦しい壁に、完全にビビってしまうわたし。

男の子たちは肘でお互いをつつきあっている。



だれが言う?

おまえが言えよ。

えー俺に言わせんの?



そのうちひとりの男の子が、つくったような笑みを浮かべて



「安藤さん、大変だよな」

「大変?」

「なんか変な噂、流されて。女子たちから目の敵にされてさ」


それをまあまあの声量で言うものだから、周りの視線(特に女の子の)が集まった。

そのなかにルナちゃんたちの視線も混ざっていることにわたしは気づく。