すごい勘違いをされている。
いや、誤魔化せたからいいのかしら? でも、この誤解は良くないよね?
「彼女は諸事情があって、故郷に帰れなくなってしまったのです。なにかとトラブルに巻き込まれる出生なので、俺の側に置いているんですよ」
「ふーん。たしかに南の国の聖女なら、その力を悪用する奴も多そうだしな。ウチの暴君も喉から手が出るほど欲しいんじゃねえか?」
イグニス副団長は、ザヴァヌ王が私の命を狙っていることまでは気づいていないようだ。
聖女暗殺計画は、限られた実行犯しか知らない極秘任務だったのだろう。
動揺したまま成り行きを見守っていると、こちらへ歩み寄ってきたイグニス副団長は、ハーランツさんの肩をすぱんと叩く。
「いいじゃねえか! 恋人同士ってんなら野暮なことは聞かねえし、お前らを応援するぜ。こんなに面白いネタ、そうそうバラしてたまるか」
「ああ、恋人ではありません。あくまで、今は一番の愛弟子です。彼女に迷惑がかかる認識は訂正してください」
「そういうことにしといてやるよ。……城下町の女に黄色い声援を飛ばされておいて、本命には相手にされていないとは、ますます面白い関係だな」



