敬語ながらも容赦なく牽制している。むしろ、笑顔が怖い。
一触即発の空気にヒヤヒヤしている私に、イグニス副団長が眉を寄せた。
「非礼は謝る。だが、本来、騎士団は女禁制だろ? 事と場合によっては、見過ごすわけにはいかないな」
言霊の魔力の露呈やハーランツさんの振る舞いから、私が女性であると確信を得たようだ。
揺るがない疑いの視線に、緊張感が込み上げる。
「アルティアがスパイか反逆者なら、始末すると?」
「ああ。もちろん、加担しているお前もな。ウチの暴君はどうでもいいが、団長に迷惑がかかるだろうから……お前ら、一体どんな関係なんだ?」
試されている。
武闘会は少し熱の入ったお遊びだったとしても、今のイグニス副団長の顔つきは違う。円卓の騎士のひとりとして、善か悪か見定めるつもりだ。
命を狙われた聖女をかくまうのは、一般的に考えたら責められる話ではない。だが、王に忠誠を誓う騎士団の中では裏切り行為である。
素直に説明したら、今度は手加減なく殺されるかもしれない。



