「今回の公務の護衛は、六人で編成されるらしいな」
低く艶のある声が耳に届く。
廊下の柱にもたれて待ち構えていたのは、イグニス副団長だ。制服がところどころ破け、やんちゃ度に磨きがかかったスタイルである。
「今回、ザヴァヌ王は視察中で武闘会を見学すらしていないし、異端のハーランツが編成から外れるのはオルデン団長の采配だって聞いたぜ」
そう。彼の言う通り、決闘システムで乱入したハーランツさんは言霊の魔力によって場外へ出てしまったため、公務への参加資格を剥奪されたのだ。
すべての任命責任をザヴァヌ王から与えられているオルデン団長は、難なくAブロックの覇者となり、ともに公務へ出向く騎士は六ブロックの覇者だけだと宣言した。
ハーランツさんは落ち着いた声で返答する。
「アルティアが公務に参加できれば、それで充分ですよ」
「お、猫被りに戻ったのか? 闘技場で威嚇してきたお前が素なんだろ?」
「先程は失礼しました。大目に見てくださいね。俺の大事な弟子に品のない真似をしたイグニスにも非があるでしょう」



