「ひゃっ!」
気づけば、地面に押し倒され、マウントを取られていた。
彼は、すぐに私の魔法石を砕こうとはしない。
「これだ、これだよ。腕相撲の時も感じた妙な違和感……今ははっきりと聞こえたぜ。お前の命令が」
力強く体重をかけられて身動きが取れない。
周囲には聞こえない低い声が、終わりを告げる。
「風の噂で耳にしたことがある。南の小国に、言葉で相手の行動を操る力を持った聖女がいるってな」
「な、なんの関係があるというのです? 僕は男だ」
「今さらハッタリでしのぐつもりか? ここで服を暴いてやってもいいんだぜ」
大きな片手で軽々と私の両手を拘束し、魔法石のベストの下へ骨張った男らしい指が滑り込んだ。
柔らかくきめ細やかな白い肌が、シャツの裾からわずかにのぞく。
まずい。ここで何もかもバレたら、ハーランツさんとの約束が果たせないどころか、暴君に正体を知られて殺される……!



