壁に貼られた表は、赤いインクで対戦が色づいている。私と当たるはずだった騎士がことごとくイグニス副団長に倒され、敗北していると気づいた。
次の対戦カードは私と目の前の彼だ。
手当たり次第に決闘を申し込んでいると思っていたけど、全て計算のうちだったの?
「なぜ、そこまでして僕と対戦したいのですか?」
「簡単な話だ。お前に興味がある」
後ずさりをしていると、いつのまにか壁際に追い込まれていた。
長いまつ毛に縁取られたオレンジの瞳が、鈍く光る。
「今までのお前の試合を観察させてもらった。全て至近距離で仕留めているな。はじめは暗器や毒を使った姑息なマネをしているのかと思ったが、抱き寄せても武器を隠している感触はなかった」
さっき、腕を掴まれて捕まえられたのは、私の不正を服越しに確かめるためだったのね。
たしかに、日々の訓練で落ちこぼれ枠の新人が、急に上官をなぎ倒していくのは不自然に映るだろう。
「お前が対戦相手に近づいた瞬間、皆人形みたく動きが止まるんだ。負けた奴らに聞いても、“体が勝手に”の一点張り……間合いに入って、脅しているのか?」



