麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



 一緒に椅子に並んでサンドイッチをかじった時、わっと会場に歓声が上がった。観客の視線の先にいるのは、縦横無尽にフィールドを駆け回る茶髪の男性だ。


「すごい。イグニス副団長、ふたりの騎士の魔法石を一振りで砕いたんですね」

「彼は先ほどから様々な試合に剣を投げ込み、決闘システムで対戦相手を蹴散らしています。あの戦闘狂は、もはや騎士狩りです」


 どうやら、一対一で試合をするのはめんどくさいとの言い分で、手当たり次第同じブロックの騎士の試合に乱入して勝ち星をあげているらしい。

 剣を投げ込まれた騎士は皆怯えているが、当の本人は準備運動くらいの認識で、とても楽しそうだ。

 予定よりも試合がだいぶ早まっているのは、イグニス副団長が私と同じBブロックだったからなのね。


「聖女様、イグニスには気を付けてください。一見、単細胞の脳筋に見えますが、彼は戦場となると誰よりも勝利に貪欲で頭が切れます。敵にまわると厄介です」