「すごい! あのチビ、やりやがった!」
「こりゃあ試合が面白くなってきたぞ!」
相手の間合いに入ってしまえばこちらのものだ。
魔力が宿ると知らない新人騎士は、私の命令口調が牽制で放たれただけだと信じて疑わない。
勝利の判定の後、唯一事情を知るハーランツさんが観客席で楽しそうに足を組んでいた。
やりましたよ、ハーランツさん!
にこにこして見つめ返す私に、彼は保護者のような面持ちでうなずいている。
私の快進撃はさらに続いた。
「“ひざカックンしなさい”」
「“そのまま前に転びなさい”」
私に勝つ気満々だった先輩騎士が、知らないまま操られて敗北していく。二回戦から五回戦まで順調に勝ち進み、武闘会は大混戦となった。
中には決闘システムで剣を投げ込む騎士もいたものの、言霊の魔力の前では二対一でも支障はない。
あまりにもあっさり倒すものだから、周囲の目が変わってきた。



