広いフィールドを囲むように観客席が設置されており、ハーランツさんはVIP用に作られた会場中央の特別観覧席に悠々と座っていた。
見ていてくださいね、ハーランツさん。絶対にトーナメントで優勝してみせます。
「双方、剣を構えよ」
審判の合図で、フィールド中央に私と新人騎士が対する。
試合で使用するのは模擬刀だ。お互い胸元に魔法石を埋め込んだベストを羽織って、相手の魔法石を砕くか、場外に追いやれば勝ちとなる。
身長も体重も筋力も、相手の方が格上。おそらく、剣術や武術の技量も敵わないだろう。
でも、私にはちょっとずるい秘策がある。
「始め!」
相手が大きく剣を振りかぶった。
すんでのところで剣の軌道をかわし、懐に潜り込む。
「“じっとしていなさい”」
「えっ?」
目が見開かれると同時に、勢いよく魔法石を突いた。パキンと割れた音が場内に響き、沸いていた観客席が静まりかえる。
勝負は一瞬。
動きを縛られた新人騎士は、訳もわからないまま仰向けに倒れ、入団試験の時の合成獣との戦いを目にしていない騎士達は、出来が悪いと思っていた下っ端二等兵の覚醒に度肝を抜かれている。



