「正直、お前が対戦相手とはラッキーだ。手加減はしないから、負けても悪く思うなよ」
ハーランツさんに言われるまでは気が付かなかったけど、やっぱり私はよく思われていないんだ。
新人の中でも一番体力も筋力もない小さな私に負ける未来なんて、これっぽっちも想像していないらしい。
深く息を吸い込んで、頭を下げた。
「あらかじめ謝っておきます。本当にごめんなさい」
「はぁ?」
「あなたの言葉、そっくりそのままお返しします。僕も手加減しないので、負けても悪く思わないでくださいね」
丁寧な宣戦布告に、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をされる。
私は嫌がらせをなんとも思っていないし、制裁をしようとも考えていないけど、ハーランツさんとの約束を果たすためには手段を選んでいられない。
やりとりを聞いていた他の騎士達もどよめいていたが、引くつもりはなかった。
武闘会の会場は、ヨルゴード国の闘技場だ。
白い柱が神殿のごとく立ち並び、地面は砂が敷き詰められている。



