ぽつりぽつりと紡いだ言葉が、自分の中に落ちていく。
あれ? こんなセリフを口にしたら、ビジネスパートナーという関係に満足していないみたいじゃない?
取り引きに応じて命を守ってくれているだけで充分だったのに、いつまでも他人行儀な彼に近づきたいと思っている。
恥ずかしくて無遠慮な発言に反省しながら顔を上げると、ハーランツさんはひどく優しい表情を浮かべていた。
「それならば、言霊の魔力をかけてみてはどうです? あなたなら、過去の独白をさせるくらい簡単でしょう」
「私は、聖女の力を私欲には使いません。それに、ハーランツさんには……ハーランツさんにだけは、今後なにがあっても言霊の魔力で縛りたくないんです」
師匠であり命の恩人でもある、唯一の味方。彼がなにを隠していようとも、無理やり行動を制限したくはない。
優しくて温かい彼を信じたいから、師匠と弟子という関係を装うとき以外では、いつまでも対等な存在でありたいのだ。



