思わず声が詰まる私に、彼は涼しい表情で続ける。
「知り合いを助けただけの話ですよ。見殺しにするわけにはいかないでしょう」
「それは納得できますが……」
敬語ではない彼の素が見えた気がして、深く知りたくなったとは言い出せない。
少年とはどのような関係なのだろう。たしか、昨日は様付けで呼ばれていた。
「知り合いは、同郷の方なのでしょうか? ハーランツさんは六年前に騎士団に入るまではどこで生活をしていたのですか?」
「難しい問いですね。十代後半から各地を転々としていましたし、生まれ故郷は帰れなくなってしまいましたから」
「帰れなくなった……? ご家族はいらっしゃらないのですか?」
「血縁者はおりますが、数回しか会わない仲なので」
聞けば聞くほどわからなくなる。そもそも、彼は本当のことを言っているの?
いつも爽やかにニコニコしている分、感情が読み取れない。
「俺のプライベートに興味がおありで?」
「あっ、いえ、立ち入った話を聞くつもりはありません。ただ、ハーランツさんをなにも知らないんだと思ったら、遠く感じて……少し寂しかった、ので」


