麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない

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「おい、聞いたか? 例の盗人、明朝に処刑されちまったんだって」

「子どもでも容赦無しとは、さすが暴君だな」


 朝の寮は、噂で持ちきりである。

 ハーランツさんの暗躍は上手く誤魔化せたようで、誰も疑う者はいなかった。なぜなら、目撃者は私しかいないんだもの。

 騒がしい廊下をよそに、ハーランツさんは優雅に朝食を食べている。

 骨張った長い指がフォークを器用に使って、ベーコンエッグを頬張った。形の良い薄い唇から一瞬八重歯が覗く。

 テーブルマナーが完璧で品のある食べ方だが、ひとくちは大きい。

 彼はいつも私の食事ペースに合わせてくれているけれど、以前ひとりで食べていたのを見たときはとても早かった。


「そんなに視線を向けてくるのは初めてですね」


 声をかけられて、胸が鳴る。しまった。ずっと見ていたのがバレた。


「すみません。お気を悪くしましたか」

「いえ。聖女様は本当に素直な方だなと思いまして」

「どういう意味です?」

「“昨日のアレは何”と顔に書いてあります」