試験を受けずに実力を認められて入団するのもすごいけど、ますますハーランツさんのがわからなくなった。
自分から望んでここにいるのに、なぜザヴァヌ王や騎士団を裏切って私を助けてくれたんだろう。
そのとき、目の前の本棚に影がかかった。
振り向いた途端、背後に立っていたイグニス副団長に、行き場を無くすように片手を突かれる。
驚きのあまり、息ができない。
「近くで見ると、ますます女みたいだな。俺、そういう勘は当たる方なんだけど」
「ど、どういう意味でしょう?」
「お前の訓練の様子をウチの寮の新人どもから聞いたよ。持久力も筋力も、平均からずっと下だ。いびった奴には制裁をしておいたが……構いたくなるのもわかる」
ふいに片手を掴まれて、抱えていた本が床に落ちた。
ハーランツさんは決してしない力強い拘束に、抵抗ができない。
「白くて細い腕……どう見ても、地元で実務経験を積んだ騎士には見えないな。どういうカラクリかはわからないけど、何か隠しているんだろ?」



