麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



 周りに追いつこうとするのに必死で気が付かなかったけど、本当に嫌がらせだったなら、今後はハーランツさんに迷惑がかからないようになんとか対処をしなければ。

 頭の中でうんうん考え込みつつ、最近やっと覚えた城内の廊下を進んで書庫まで辿り着く。

 扉を開くと、天井まで届くほどの本棚が所狭しと並んでおり、分厚い書籍がそのまま床に積み上げられている山もあった。普段使われる機会は少ないようで、少しカビ臭い。

 すごい量の本ね。覚悟はしていたけど、時間がかかりそう。睡眠時間を確保するためにも早速取り掛からなきゃ。

 気合を入れ直して、本の山へと立ち向かう。

 そして、背表紙の分類を確認しようと覗き込んだ、次の瞬間だった。


「わぁっ!?」


 本が山積みになった陰に隠れて、ソファに寝転ぶ人の足が見えた。

 一瞬死体かと思って飛び退けたが、私の叫び声にのっそりと起き上がる。


「あぁ……? 誰だよ、俺の安眠を邪魔する奴は……」