円卓会議に出席するレベルの騎士となれば、それぞれにひとり部屋が与えられ、食事をメイドに運んでもらえるそうだ。

 ハーランツさんの計らいで、二等兵の私まで優雅な暮らしができているのが申し訳ない。


「ストイックに周囲に合わせる必要はありません。筋肉痛もまだ治っていないようですし、無理は禁物です」

「いえ。ハーランツさんの手を借りて入団した以上、任務に参加出来るくらいまでは成長したいんです。出来が悪ければ、ハーランツさんが周りから悪く言われてしまうかもしれませんし」

「俺のことはお気になさらず。そうだ、前に美味しいと言っていた菓子を買っておいたので、気が向いたときに食べてくださいね」

「あの……とても甘やかされていますよね?」


 新人とは思えないほど丁重に扱われている。ハーランツさんは私をお姫様のように大事にしてくれるのだ。

 百人ほどをまとめる騎士長は、寮を監督して自分の弟子達を泊めるようだが、ハーランツさんは諸事情で自分の小隊を持たないらしい。

 そのため私を自室に引き入れる形となり、同室での生活はスマートに気づかいをされてばかり。

 着替え用のついたてを用意し、部屋に備え付けられたシャワーも必ず私を優先させてくれる。