「あの少年が三頭もひとりで!? 剣さばきが早すぎて、どうやって仕留めているのかわからない!」

「見ろよ、合成獣は完全に気を失っているぞ」


 無我夢中で走り続け、息が上がる。貸し出された剣は重すぎて、遠心力で腕がちぎれそうだ。体力がないせいで、すぐにへばってしまう。

 背後から迫ってきた最後の一頭を斬ったのはハーランツさんだった。

 足が重くて動けない状態を察したのか、剣についた血を振り払って腰に戻した後、私の体を軽々と抱き上げる。

 集まった騎士達も彼の行動に視線が釘付けになっていた。

 すっぽりと横抱きにされた私が目を見開くと同時に、彼の低く凛とした声が広場に響く。


「アルティアは俺がもらい受ける」


 有無を言わせないほど高らかな宣言だ。

 彼はどこまでこのシナリオを描いていたのだろうか。初めから自分の側に引き取るつもりで、タイミングを見計らっていたのかもしれない。


「待て、ハーランツ」