私は、なぜハーランツさんを円卓の騎士の中で下っ端だと甘く見ていたのだろう。
そもそも、新入騎士を見定める最終試験で、若い彼があの場にいること自体が普通ではないのだ。
その秘めた戦闘能力に圧倒されるほかない。
次の瞬間、こちらめがけて三頭の合成獣が襲いかかってきた。団長は腰の剣に手を添えたまま側に控えてくれているものの、危険が迫るまで助け舟を出さないらしい。
私は勢いよく駆けだした。大型の合成獣はあらかたハーランツさんが仕留めているため、広場はかなり動きやすい。
「“止まりなさい”!」
威勢よく群れに突っ込むフリをして、言霊の魔力を放つ。
ひるんだタイミングで、剣を振った。
「“眠れ”」
一頭、また一頭と地面に倒れる。暗示をかけているだけなのだが、周囲には次々と獰猛な合成獣を倒しているように見えるのだ。
東の広場を片付けた騎士達も集まっていたようで、どよめきが起こる。