不安が胸に込み上げたのを察したのだろう。団長が冷静な声でつぶやく。
「あの男に余計な心配は無用だ。むしろ、お前の実技分の合成獣が残っていればいいが」
西の広場に着いて、すぐに言葉の意味を理解した。
意識を失って地上に倒れる無数の合成獣は、全て急所に傷を受けている。まるで無重力の中で遊ぶように、ハーランツさんは空を舞っていた。
あれは、飛んでいるのではない。並々ならぬ脚力で地面を蹴っているんだ。瞬発力、跳躍力、反射神経も全てがずば抜けて高い。
高身長の彼よりもさらに図体の大きい標的を相手に、軽々と剣を振るって仕留めていく。
軽く地面を蹴ったと思えば、一秒後には数メートル先にいて、自分の目が信じられない。
彼は体術も長けていた。
ひとたび襲ってきた合成獣を蹴り飛ばせば、骨が砕けるほどの鈍い音が響く。たった一動作で複数の合成獣が倒れていった。
返り血を浴びて悠然と立つ彼は、まるで美しい獣。
柔和で紳士的な外見に隠されていたのは、尖った闇深い殺気である。



