麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



 いとも簡単に倒されそうになり、無意識に声が出る。「ふっ」と小さな笑い声が聞こえ、緩やかに相手の力が抜けた。

 勝利に安堵する一方で、いたずらをしてきた彼にムッと唇を固く結ぶ。

 この人、実はこの状況を楽しんでいるわね?


「残念、負けてしまいました」

「コラァ! ハーランツ! あと少しだったのに、気を抜くんじゃねぇ!」


 仲間たちに、やんややんやと文句を言われ、涼しげに受け流している。誰に対しても敬語で紳士的な態度を崩さない。

 仲が良さそうな関係性を見るに、彼は上級騎士の中でも下っ端なのだろうか?


「茶番はそこまでだ、お前ら。面接中だと忘れたか」


 団長らしき男性が一喝した。

 しかし、楽しそうに騒いでいた騎士達が静まると同時に、けたたましいサイレンが部屋に響く。

 緊急事態を告げる警報を聞いて、全員の顔つきが一変した。


「騎士様! 大変です!」


 部屋に駆け込んできたメイドが血相を変えて叫ぶ。


「城下町に合成獣が現れました! 巡回に当たっていた騎士だけでは手に負えません」


 状況を理解するや否や、団長が低く指示を飛ばした。


「面接は中断だ。総動員で合成獣の駆除に向かう」