麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



「見たところなんとも弱々しいが、日々の鍛錬はどのくらいしているんだ?」

「鍛錬ですか? 朝の体操は町のみんなとしていました」

「なるほど。準備運動は欠かせないな。その後はどんなトレーニングを?」

「トレーニング……ですと、牧羊犬と草原に行って、たまに牛を追いかけたり……」


 上段からハーランツさんの咳払いが聞こえた。

 あら、これは言ってはダメなやつですか?

 こっそり様子をうかがうと、彼の青い瞳が必死に話題転換を訴えている。

 そうだ。正直に話して受かるのは難しい。だって、私、運動はあまり得意ではないんだもの。

 ここからは騎士らしくハッタリで乗り切らなきゃ。


「剣技はどうだ? その細い腕でまともに武器を扱う姿が想像つかない」

「筋トレは頑張っているのですが、なかなか筋肉がつかない体質でして」

「バーベルは何キロ持てる? 最終試験に進むくらいなら、八十キロは余裕であげられるんだろうな?」

「も、もちろんです!」