「それは大層な経歴だな。即戦力ということか。本人からも、ぜひ話を聞きたい」
飛び抜けて風格のある男性が切り出し、やっと面接が始まる。
「名前と歳は?」
「アルティア=ミメーヌです。今年、二十歳になりました」
「騎士団への志望理由を述べてくれ」
「幼い頃から、国を守る王都の騎士に憧れていました。中でも、世界に名が知れたヨルゴード国の騎士団の一員となり、厳しい訓練で自己研鑽に励んで、民や大切な人を守れる実力をつけたいと思っています」
出だしは上々だ。想定していた問いがうまくはまっている。
しかし、すらすら話して一息ついた頃、ひとりの騎士が問いかけてきた。
「地元での実務経験があるようだが、出身はどちらで?」
「ここから南にある、サ……」
言いかけて、はっとした。
サハナ国には騎士団など存在しない。聖女のおさめる小国だと噂が知れ渡っているならば、正直に答えて墓穴を掘ることになる。
「サ、サウナ国です」
「サウナ? 初めて聞く名前だな。そんな国、地図に載っていたか?」



