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「この棚の端から端まで、全てください。それから、奥にある靴と鞄も」
ヨルゴード国の都市に着いたのは、夕刻を過ぎた頃だった。
レンガ作りのクラシカルな街の外灯に、明かりが灯っていく光景を眺めてうっとりしたのも束の間。手際良く馬を城の宿舎へ返したハーランツさんは、私の手を引いて服屋に入る。
ガラスのショーウィンドウにはきらびやかでシックなデザインの服が並び、いかにもお金持ちそうな客で賑わっていた。
めったに入ったことのない高級感溢れる店内に、緊張でそわそわしてしまう。
しかも、端から端まで全て、なんて夢見たいなセリフを現実で聞くとは思わなかった。
スタッフに案内されながら商品を眺めるハーランツさんはあごに手をあてて吟味している。
「サイズは一番小さなもので問題なさそうですね。どの色のシャツがお好きですか?」
「私の買い物だったのですか?」
「もちろんです。ここで暮らすなら、衣類は揃えておかなければ不便でしょう」
「この棚の端から端まで、全てください。それから、奥にある靴と鞄も」
ヨルゴード国の都市に着いたのは、夕刻を過ぎた頃だった。
レンガ作りのクラシカルな街の外灯に、明かりが灯っていく光景を眺めてうっとりしたのも束の間。手際良く馬を城の宿舎へ返したハーランツさんは、私の手を引いて服屋に入る。
ガラスのショーウィンドウにはきらびやかでシックなデザインの服が並び、いかにもお金持ちそうな客で賑わっていた。
めったに入ったことのない高級感溢れる店内に、緊張でそわそわしてしまう。
しかも、端から端まで全て、なんて夢見たいなセリフを現実で聞くとは思わなかった。
スタッフに案内されながら商品を眺めるハーランツさんはあごに手をあてて吟味している。
「サイズは一番小さなもので問題なさそうですね。どの色のシャツがお好きですか?」
「私の買い物だったのですか?」
「もちろんです。ここで暮らすなら、衣類は揃えておかなければ不便でしょう」



