フードを脱いだエヴィニエ王が、にこにことこちらを眺めていた。
とんでもないレベルの王族が使者のフリをしてやって来たと理解したロウは、状況が飲み込めずに動揺している。
「まさか、聖女様を妻に迎えようとしているのは、アルヴ国の王子様ということですか?」
「はい。ミティアの承諾が得られれば……他に望むものはありません」
私の方へと振り返ったハーランツさんは、民衆に囲まれながら、私の目の前で膝をついた。
ダイヤモンドがはめこまれた剣を置き、私の手を取って口付ける。
周囲にも緊張と高揚感が漂ったとき、凛々しく真剣な声が、まっすぐ心に飛んできた。
「ミティア=アルメーヌ。あなたに結婚を申し込む。俺の妻になってくれるか」
ここまでの道のりが、どっと頭の中に流れ込む。
ふたりきりになったら暗殺されるのではないかと警戒して、風呂場に短剣を持っていこうとしたり、いつも本心をはぐらかしてポーカーフェイスを浮かべられたりしていた日々。
それがいつしか、偽りの師弟関係を超えて、絆と愛で結ばれた。



