『生きているとバレたら厄介な事態になる。あなたはここで死んだことにするんです。俺と取り引きをするなら、一生守り抜くと誓います』
森の中で交わした言葉が、遠い記憶としてよみがえる。
聖女と騎士の間柄で出会った頃が懐かしい。今ごろ、なにをしているんだろう。もう二度と会えないんじゃないかって不安になるわ。
『俺がミティアを幸せにする準備ができたら、必ず迎えに行くと誓う』
気持ちが通じ合ってキスをした後、ハーランツさんはそう言っていた。
いつまでだって待てるわ。気持ちはずっと変わらない。
「聖女様。次が最後の謁見者です」
ロウに声をかけられて、我にかえる。
いけない。今は聖女としての務めに集中しないと。
神殿に入ってきたのは、外套のフードをまぶかに被った男性だ。肩まで伸ばした黄金の髪をひとつにしばり、胸へと垂らしているのが見える。
こんなすらりとした若い男性、サハナ国にいたかしら?
「ご機嫌麗しゅう、聖女様。この度は謁見の時間をとっていただき、ありがとうございます」



