ゆっくり触れられる手が優しい。大切に扱われているのが伝わってくる。
思考がどろどろに溶けるくらい甘やかされて、緊張と期待で胸がいっぱいだ。
髪を撫でていた指が首へと降りて、襟から覗いていた鎖骨をなぞった。
好きな気持ちが溢れて抱きつくと、ハーランツさんは愛しそうに目を細めて額へキスを落とす。
この人と出会えて良かった。ずっと一緒にこうしていたい。
名前を呼ばれ、愛をささやかれるたびに、泣きそうなほどの幸せが込み上げた。
「聞いてくれ、ミティア。俺はこれから、ラグネ国の再建に向けて尽力しようと思っている。その前に、騎士団を抜けた今、エヴィニエの息子として今まで放棄してきた王族の公務にも当たらなければならない」
まっすぐな瞳が、私をとらえる。
「しばらく忙しくて会えなくなるだろう。でも、俺がミティアを幸せにする準備ができたら、必ず迎えに行くと誓う」
待っていて欲しいと告げた彼は、もう一度私を強く抱きしめた。
夢のようなふたりの夜は、お互いの体温を隣に感じながら、ゆっくりと更けていった。



