ハーランツさんも、反逆者としてザヴァヌ王に正面から刃向っていれば、差し違えても復讐を遂げるつもりだったはずだ。
前世で生き別れた私たちが、ここにふたり生きて帰って来れたことは奇跡に近い。
全ての人生のピースが嘘みたいにはまり合って、願った通りの未来を形作った。
「ミティア」
名前を呼んだ彼のいつになく真剣な表情に、体に力が入る。
大事な話を切り出されたのだとすぐに察した。
「俺はずっと復讐だけを誓って生きてきた。王家の血筋も、里の同胞も、自分の命でさえ、捨てる覚悟でいたんだ」
大きな手が細いうなじを支える。長い指で合図のようになでられて、上を向いた。
「でも、ミティアが救ってくれた。過去に囚われていた俺の道を正して、惨禍の悪夢から目覚めさせてくれたから、今、俺はただひとりの男としてあなたの前に居られる」
至近距離で、サファイアのような青い瞳に熱が宿る。
「愛している。この世界の誰よりも」



