続けて目の前に座った私に、彼は優しい眼差しを向けていた。
「おいで、ミティア」
緩く手を引かれ、自由な方の片腕が広げられる。穏やかで色気のある表情に、心臓が鳴り止まない。
素直に胸へ飛び込む私に、ハーランツさんは抱きしめながら小さく笑った。
「こんなに小さかったか? 本当に子猫みたいだ」
だんだんと腕にこもる力が強くなって、隙間もないくらいに体が密着する。
心地よい鼓動と体温だ。お互い生きてここにいるのが、奇跡みたいな日々だった。
出会ったその日に私は崖から落ちて死にかけて、ハーランツさんが私を利用するつもりで会いに来なかったら、そのまま死んでいたかもしれない。
沈黙の後、無意識につぶやいたような声が聞こえる。
「こんな日が来るとは思わなかった」
まつ毛を伏せて、しみじみとそう言った彼に、つい見惚れた。
「ザヴァヌを葬った後、罪で汚れた俺は、二度とこの里に帰る資格はないと思っていたから」



