大事な話? 改まって、なんだろう?
にこやかな彼はいつも通りに見えるけれど、普段はそれなりに好むお酒をあまり口にしないところから、素面でないと話せない内容だと察する。
やがて、夜が更け始め、楽しい宴はお開きになった。酔っ払って眠りこける長老をルカトル少年が引っ張って広間を出ていく。
寝床には、別館を貸してもらう話がついていた。それぞれ家に帰る民達を見送ったとき、ふいにハーランツさんに手を取られる。
見上げた先で、ゆっくり指を絡めた彼の青い瞳と視線が重なった。
「ここからは、ふたりきりだな」
繋がった手の熱さに、胸が鳴る。
からかい混じりの台詞なのか、本気で口にしているのか、相変わらず判断ができない。
でも、やっぱりいつもとどこか違うみたい。緊張して必要以上に意識してしまう。
やがて、清らかな庭園にかかる橋を渡り、民族的な装飾が施された灯籠が備えられた別館に着いた。
中に入って引き戸を閉めると、ラグネ国の紋章が織り込まれた布が敷かれた床の上に、ハーランツさんが腰を下ろす。



