こちらからは背中しか見えないものの、つぶやいた声は震えるほど低い。
やがて、エヴィニエ王は懐から小瓶を取り出した。一瞬だけ彼の魔力が強まり、髪の毛がふわりと舞い上がる。
投げ渡した小瓶を受け取ったザヴァヌ王は、わずかに眉を寄せて真意を尋ねた。
「なんのつもりだ?」
「それは私の魔力を込めた聖水だ。貴様は不老不死の力を得たいのだろう? 聖水を飲み干せば、一時的に不老不死になれる。試した後に、それでも我が魔力を奪いたいのなら、相手をしてやろう」
とっぴな提案に、一同が目を丸くする。
わざわざお試しをさせてあげるなんて、どういう考えなんだろう?
ザヴァヌ王も一瞬動揺を見せたものの、一時的とはいえ不老不死になれるという誘い文句を無視できない様子だった。
頬は紅潮し、欲望に満ちた瞳がニヤリと細まる。
「どんな風の吹き回しか知らないが、貴様が素直に魔力を与えるとはな。この俺が怖気付いてやめると思ったか?」



