この声は、エヴィニエ王とザヴァヌ王?
ただならぬ気配を察して施設へ入ると、ふたりの男が対峙していた。
再会した暴君は、黒い長髪を緩くまとめ、前髪からは赤い瞳をのぞかせている。黒の高貴な服に深紅のマントを羽織る姿はオーラがあり、エヴィニエ王に引けを取らないほどの威圧感だ。
ザヴァヌ王は、聖女の私に気づいていた。地面にはあらかじめ魔法陣が敷かれており、言霊の魔力を放とうものなら、以前のように首を絞められてしまうだろう。
手を出せない私とハーランツさんをよそに、ザヴァヌ王はわざと挑発しながら、咲き乱れる花に囲まれた墓石へ無遠慮に手を置いた。
「冥土の土産に、俺の魔力で妻に再会させてやろうか」
「なんだと?」
「簡単な話さ。合成獣としてこの世に蘇らせればいい。黒い竜は、さぞ見目麗しく強いだろうな。妖精王を相手取るには最適な駒だ」
ひどい。なんて失礼な奴なの?
そのとき、エヴィニエ王のまとう空気が変わる。
「平和的解決で貴様に情状酌量を与えようなど、私が愚かだったようだな」



