ザヴァヌ王も、人並外れた魔法使いだ。向こうも魔力で応酬して、ここへ来るつもり?
しかし、私の予想を反し、エヴィニエ王は窓へ駆け寄った。二階から下を眺めた青い瞳に、乱れた感情が垣間見える。
息をつく間もなく、血相を変えたエヴィニエ王が窓から飛び降りた。
突然の展開に驚いて、窓辺から顔を出すと、ふわりと着地した彼は裏庭の施設へ入っていく。
「あそこは一体?」
「あれはエヴィニエが建てた、王族しか立ち入りが許されていない聖域だ。俺の母親の墓がある」
ガラス張りの施設は美しい花々が咲き誇っており、天窓からは冬らしからぬ楽園のような場所であることがうかがえる。
嫌な予感がして、ふたり揃って駆けだした。
階段を降りて裏庭へまわった途端、ガラス張りの施設から嫌悪に尖った声が響く。
「客人ですらない分際が、汚らわしい足で踏み入るな」
「面会に応じないものだから呼び寄せたまでだ。こうすれば、貴様は嫌でも飛んでくる……先立った妻に未だ未練を残しているとは、見事な愛妻家だな」



