「そんなに血相を変えずとも、城の使用人たちは裏口から避難させた。ここには私だけだ」
「ずいぶんと余裕だな。自分の命を狙う男が城内に忍び込んでいるんだぞ」
「問題ないさ。魔力で空間をいじる限り、ザヴァヌは玉座に辿り着けない」
なるほど。ひしひしと感じる強大な魔力で、城を一種の要塞にしたらしい。
ザヴァヌがいくら奇襲を仕掛けても、エヴィニエ王にとっては取るに足らないレベルなのだ。
「この後、どうするつもりだ? 城の外は大荒れだぞ」
「国民を危険に晒した報いは受けさせるべきだが、下手に動くと事が大きくなるからな。城内さまよわせている間に、ヨルゴード国の城と異空間を繋ぎ、送り返すつもりだ」
ため息をついて答えたエヴィニエ王は、悩ましげに足を組む。
根本的な解決は難しそうだけど、城に送り返すなら、なんとか平和的に対処できるかしら。
ザヴァヌ王の手下にされた竜達の魂は浄化できたし、今後、アルヴ国の地が再び踏み荒らされないといいけど……。
不安を抱えつつ状況を見守っていたその時、エヴィニエ王の顔つきが変わり、一瞬だけ城内に漂う魔力に歪みが生じる。



