そのとき、ハーランツさんが自身の鞄を彼らに向かって投げた。
団長の足元に落ちた鞄から顔を出したのは、分厚い紙の束である。
不可解な表情を浮かべた円卓の騎士達に、ハーランツさんが告げる。
「それはザヴァヌの悪事の記録だ。俺が入団してからの四年間で解読した暗号が記してある。あの男が玉座に居座っている限り、ヨルゴード国に未来はない」
拾い上げた団長が、眉間に深くシワを刻んで文を目で追った。
重い沈黙が流れる中、数枚で状況を察したらしい団長は、一瞬だけ目を閉じて鼻から息を吐く。
再び開いた瞳には、吹っ切れたような光が宿っていた。
「総員、合成獣の駆除、およびアルヴ国民の避難誘導に当たれ! 怪我人は城下町の医院に運ぶんだ!」
迷いなく指示を飛ばす背中に、はっとすると、凛々しい横顔が視界に映る。
「なにが正しいかどうかは、お前達が引き寄せた結果で決める。次に会ったときヨルゴード国の不益と判断したら、直々に牢に繋いでやるから覚悟しておけ」



