遠くから声をかけた私に、団長は眉を寄せる。
「なんのつもりだ」
「いかなるときも誠実に仕事に向き合ってきたあなたなら、国のために捕らえなければならない敵が誰なのか、分かるはずです」
「俺にも反逆者になれと言っているのか」
イグニス副団長は、じっと団長の答えを待ち、ハーランツさんも、黙ってやりとりを見つめている。
「聖女の力で縛らないのか。貴様なら、力づくで従わせることも出来るだろう」
「そんなもの必要ありません。私はアルティアだった頃から、あなたを純粋に上司として尊敬しています」
入団試験の最終面接で、私を引き入れるのを許したのは彼だった。いかなるときも不正を許さず、民の安全を最優先に街で先導していた姿を見ている。
まだ剣すらまともに振れなかった私を合成獣から守れるように、側に控えてくれていた優しさは偽りじゃない。
ヨルゴード国を守るためには、力のある君主が必要だった。だから、彼は彼なりに非道な面のあるザヴァヌ王のやり方を理解しつつ、従っていたのだ。



