暴君の悪事を知らない円卓の騎士達は、突然現れた竜に驚きを隠せない。
地上に降り立った竜達が一斉に青い炎を吐き出し、辺りは騒然となる。
「退避だ! 剣だけでは太刀打ちできない」
「まずい、炎が城を囲む木々に燃え移るぞ!」
竜の硬いウロコは、なんの武器も通さなかった。妖精族の衛兵だけでなく、ヨルゴード国の騎士も、どう対処すれば良いかわからずにいる。
「“動きを止めなさい”!」
惨状を鎮めたのは、言霊の魔力だ。
私の声を聞いた瞬間、全ての竜がこちらを向く。
ザヴァヌ王の魔力によって操られ、赤く燃え上がる炎の色をした瞳は、どこか悲しげに潤んでいた。
「“天に還りなさい”……どうか、安らかに」
目をつむるほどまばゆい光が解き放たれ、苦しみながら炎を吐いていた竜達が、眠るよつに地面に伏せていく。
もう、終わりでいいの。
ラグネ惨禍に巻き込まれ、二十年もの間、暴君に支配されていた魂は、私が残らず浄化する。
妖精族もヨルゴード国の騎士達も、皆、空に登っていく光の残像を眺めていた。
「オルデン団長、お願いです。今はアルヴ国を合成獣から救うために協力してください」



