「ここで鉢合わせしたのは面倒だな。俺ひとりで足止めするとしても、分が悪い」
「まさか、私を先に行かせるつもりですか」
「ああ。城内はエヴィニエの魔力で守られているはずだ。あなたの側に居られないのは不本意だが、今は俺の隣にいるほうが危険だろう」
向こうは私だけを逃がすつもりはなく、警戒を怠らない。
しかし、一触即発の空気に緊張が走ったとき、戦況を変えたのは思いもよらぬ来訪者だった。
『グォォォォ!』
地の底から響くうなり声とともに、周囲がグラグラするほど揺れる。地上に大きな影が落ち、その場にいた全員が空を見上げた。
視線の先に映った光景に、目を見開く。
「なっ、なんだありゃあ!」
イグニス副団長が動揺の声を上げる。
私も、自分の目が信じられない。真っ白な竜の大群が、城の上空を埋め尽くしているのだ。
まさか、あれは、ラグネ惨禍で捕らえられたハーランツさんの同胞達? やはり、ザヴァヌ王は、魔力で操った全ての駒をアルヴ国に呼び寄せたのね。



