やがて、前方に黒い煙が上がっているのが見えた。
火薬の匂いだ。嫌な予感がするわ。
城の門の前に降り立ったとき、目の前の光景に絶句する。
城の庭では衛兵のエルフ達が武器を片手に駆け回り、数えきれない合成獣相手に戦っていた。
ヒトの姿に戻ったハーランツさんが、素早く剣を抜き、加勢に入る。
「“合成獣よ、大人しく眠りなさい”!」
目一杯に声を張り上げて言霊の魔力を放つと、獰猛な獣が意識を失って地面に沈むのが見えた。
「おおっ、聖女様だ! 聖女様が来てくださった!」
「共にいるのは、エヴィニエ王の御子息のハーランツ様ではないか!?」
衛兵達は、救世主の登場に表情を明るくさせて沸き立っている。
「ザヴァヌはどこへ?」
「客人として城に案内されたはずですが、入った途端に城の扉を魔法で閉ざし、合成獣を解き放ったのです」
「中にはエヴィニエの他にも、衛兵やメイドが取り残されているんだな?」
「はい。しかし、中の様子をうかがう余裕もなくて、安否が心配です」



