麗しの竜騎士は男装聖女を逃がさない



 なんて残酷な話なのだろう。

 たしかに、竜人族は攻撃力、防御力ともに高い。そして、禁忌の魔法陣への適性を持っていた。

 野望のために多くの命を軽んじて利用するとは許せない。

 そのとき、騎士が懐に入れていた通信機が音を立てた。画面に表示されているのは、円卓の騎士のマークだ。


『こちら、本部より伝令。各地に派遣されている騎士は、王都に集結せよ』


 どうやら、全騎士に一方的に流された伝令らしい。低く凛とした声の主は、オルデン団長である。

 一体、なんの騒ぎだろう。もしかして、私とハーランツさんを捕らえるために、騎士を集めるつもり?

 緊張感が高まる中、予想外のセリフが流れる。


『ザヴァヌ王が視察先から戻らない。護衛で付いた騎士は連絡が途絶え、合成獣にやられた模様。王都の警備は一等兵以下に任せ、円卓の騎士はただちにアルヴ城へ向かう』


 とんでもない伝令に、ハーランツさんの顔つきが変わった。問題は行き先だ。

 アルヴ国は、エヴィニエ王が統べる妖精の国。ザヴァヌ王が視察先へと選んだ理由は、政治のためではないだろう。